【ルネサンス傭兵列伝③ホークウッドpart.Ⅰ】

■➀傭兵依存の風習の定着■

フィレンツェが13世紀末あたりから、傭兵に依存するようになったのは商業の都市となったことが大きいようである。

13世紀末辺りにフィレンツェを牛耳っていた富裕層を追放し、共和国になり市民による皆兵が中心となったが、その辺りにフィレンツェは貿易が盛んになったのと毛織物の産業が発展したこともあり、新たに商業によって成り上がった富裕層が登場し経済格差が顕著になり、結果的にその富裕層による寡頭政治になる(この頃は他の都市との支援関係によって内紛に有利になったり、やはり資金があるものが内紛を制したようである)。

そして富裕層は力の源である資金源である商業を更に発展させるために政治を執るようになり、この辺りのフィレンツェの戦争は内紛か商業の販路を確保する戦争が中心になる。

すると市民皆兵であったが、都市を守るという愛国心からの皆兵ならモチベーションを保てたが、富裕層の商売のためとなるとモチベーションが下がったようである。

文献によっては甲冑に身につけたプロの傭兵に対して市民兵では勝てなくなったとあるが、当時はフランス・イギリスでは百年戦争の時代で甲冑で戦う事が下火になってき兆しもあるので、傭兵に勝つために市民の経済活動をストップしてまで訓練を積ませることに意味を見出さなくなってきたということかもしれない。

いずれにしてもモチベーションが下がった市民は徴兵忌避の為に免除金を払うようになり、その免除金によって更に傭兵がやとう風習が定着していったようである。

因みに、同じ時期位にヴェネツィアも、以前は東方貿易の販路を確保するために海戦を行ってきたが、イタリア国内で販路を確保するための陸戦が起こると急に傭兵に依存するようになっている。

そもそも13世紀後半からイタリア国内で各都市での戦争が増えたのは、教皇や皇帝の威光がイタリアの秩序を均衡させるほどの力ではなくなったことからなのだが、それも商業の発展によって各都市に経済力がつき傭兵で戦争ができるようになったという要因が多いのではないだろうか。

いずれにしろ、13世紀末からイタリアの各都市で範囲で傭兵を雇うようになる。

その典型として、イギリスからきてミラノや教皇庁やフィレンツェなど様々な各都市と契約をしてお金を稼いだ傭兵・ジョン・ホークウッドがいる!

※『傭兵の二千年史』菊池良生 を参照。

【ルネサンス傭兵列伝③ ホークウッドpard.Ⅱ】

13世紀末くらいからイタリアでは傭兵を多く使う事が多くなり、一人の傭兵隊長が契約次第で敵にも味方にもなることも多く表れ始めていました。そのため、敵が契約していた傭兵隊長に、お金を払って抱え込み、攻撃しない契約を取り付けることもあったようです。後にフィレンツェ大聖堂に騎馬像のフレスコ画が飾られることになるホークウッドがフィレンツェと関わったのも、この抱え込みからのようです。

■②八聖人戦争■

八聖人戦争は、1370年に教皇に就任したグレゴリウス11世のフィレンツェのあるトスカーナ地方に派遣した特使が、フィレンツェへの小麦の売却を禁止したのが原因となっているようです。

14世紀初頭からローマ教皇は、フランスのアヴィニョンに捉われてしまい、教皇自体はアヴィニョンから特使を送りイタリアの教皇領を統治するというシステムを伝統的にしていました。

グレゴリウスも同じくそのように特使を派遣したのですが、その特使が野心家でと1375年のフィレンツェを襲った飢饉を好機とみて、支配しようと考えたようです。

そのためフィレンツェへ小麦の売却を禁止して無理やり教皇庁とフィレンツェの戦争に持って行って始まった戦争のようです。

八聖人戦争という名前は、フィレンツェの教会に敵対するすべての都市と同盟しこの戦争を指導する8人の市民を選出して、この八人に特権を与えたようです。この8人がフィレンツェ市民は聖人と呼んで讃えたことからのようです。

ただ、相手のグレゴリウス11世なのですが、アヴィニョンから特使を派遣してイタリアの教皇庁を統治したのもアヴィニョンの捕囚以降の影響を感じさせますが、また1377年アヴィニョンからローマに戻った歴史的な教皇でもあります。ローマに帰還し、教皇庁統治の本腰を入れようと考えたのと、フランスは百年戦争で状況が芳しくなかったためのようです。

このときホークウッドはグレゴリウス11世の命を受けて色々な仕事をしているが、フィレンツェがホークウッドを抱え込んだため、グレゴリウス11世の死後に和平が取られたようです。

しかし、この八聖人の戦争による負担やフィレンツェ内部での反対勢力の動きもあり、一時メディチ家やアルベルティ家がフィレンツェにいずらくなる原因にもなるチョンピの乱が起こります。下層階級の大規模な反乱です。

※『フィレンツェ史』マキャベリが中心に参照。

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